新型コロナウイルスの影響が出始めて早くも8か月以上もの月日が経ちました。以前、終息の見込みは立っておらず、観光業に従事する人々の叫びが日ごとに大きくなっています。
7月から始まった「Go To トラベル」キャンペーンが今でも展開されていますが、新たに「Go To イート」とも始まり、経済再生への道を模索する日々が続いています。
しかしながら「経済再生」と大々的に銘打って、国が主導のもとに展開されている政策とは裏腹に、9月以降もコロナ倒産が増えているのが現状です。
帝国データバンクが発表している数字では、コロナウイルスの影響によって倒産した件数はすでに500件を超えています。
もともと倒産件数が多い業種といえば建設業や製造業、そして飲食業でした。
コロナ前では人手不足倒産が大きく取り上げられていた運送業も増加傾向にありましたが、コロナ倒産は従来とは違う特徴を示しています。
やはりトップは飲食業、続いてホテル・旅館、そしてアパレル、飲食業に関しては1年を通して倒産や開業が多い業種ですが、今まで上位ではなかった業種が次々と倒産に追い込まれているのがわかります。
今回は、日本全国の観光地の中で、最もコロナの影響を受けているといわれている別府市について記していきます。
別府市の状況、観光業に特化した街の叫び
7月以降もコロナウィルスの感染者数は増え続けていて、1日当たりの感染者数が第1波の時よりも倍の人数に達する日もありました。
これはPCR検査を行う1日当たりの人数が増えてきたことにも比例しているとは思いますが、感染の第2波、第3波が到来し、緊急事態宣言解除以降も、外出自粛や移動制限が自主的に行われてきたことに他なりません。
「Go To トラベル」が始まって、多少なりとも回復した別府市の観光客数ですが、実質的には2~3割程度だといっています。
さて、大分県別府市といえば、日本最大の温泉地ですが、別府市自体の人口は約11万3千人、そのうち9割の人が観光業に何だかのかかわりをもって生活を営んでいる自治体です。
年間1000万人もの観光客を呼び込む別府温泉、今年のゴールデンウイークはなんと前年比の98%減だったそうです。
この数字というのは、ほぼ無収入を表す数字であって、月間の土地や建物、また設備や雇用維持費を含めると膨大なマイナスになります。
ゴールデンウイーク後、7月から始まった「Go To トラベル」効果を含めても回復には程遠く、前年比の5割から7割減が続いているという。
当然ながら企業の経営者の行うことは倒産を避けること、コロナを理由とした解雇や雇止めも当たり前、このままでは別府市自体がなりたたくなってしまうのでは、という懸念が生まれています。
ただ、日本の感染者数が0になっても、別府市をはじめ日本全国の観光地はすべて復活できるわけがありません。
なぜならば、外国人観光客に頼り過ぎていたからです。
訪日外国人観光客の増加で、一躍、観光立国を打ち出した安倍政権、ところがコロナとともにその野望は打ち砕かれ、それを期待していた観光地も多大な影響を受けてしまいました。
9月のシルバーウィーク以降は、コロナ禍の中で多くの人たちが移動しました。その中で、閑古鳥が鳴いていた観光地も喜びの声を上げています。
しかしながら海外からの観光客が来ない限り本当の復活はありえないと観光業者は本音を明かします。
旅客運送業もそうですが、人が移動しないと商売にはなりません。航空会社をはじめJR各社、バスタクシー会社などもすべてが観光に依存しています。
渡航制限の緩和は少しづつですが進んでいますが、あくまでもビジネスや政府や自治体の渡航のみであって観光目的ではありません。
オリンピックまで1年を切った現在でも、現状と近未来がつかめない状態で進んでいるコロナ対策、日本だけではなく、世界全体が沈静化しないと今の現状は変えられないかもしれないという危機感がよぎってしまいます。
別府市が発信した世界へのメッセージ、「別府 THE ONSEN JOURNEY」
近年にない苦境に立たされている観光業界、ただ、当然のように黙ってみているわけではありません。
いま復活に向けて色々な業種とコラボレーション企画を立てており、観光業界を少しでも盛り上げようと、コロナ対策を行ったうえで行動を起こしています。
7月には日本最大の温泉地でもある別府市が日本のみならず、世界に向けて発信するPR動画が公開されています。
別府温泉が誕生した地球規模の歴史を日本国内にとどまらず全世界に向けアピールしている動画です。
ナレーションは英語で日本語字幕付き。
動画は立命館アジア太平洋大学(APU)の卒業生が起業した映像制作会社「ステッキ」が製作。地球物理学者で京都大名誉教授の由佐悠紀さんが監修しています。
7分20秒のフルバージョンと30秒のダイジェスト版があります。事業費は1400万円だそうです。
動画は別府に温泉が湧く遠因となった260万年前の火山活動や一粒の雨が温泉水になるまでの旅、蒸し料理など入浴以外の多様な文化をCGと実写を織り交ぜ紹介。
映画のような迫力を持った作品に仕上がっています。
事業を手掛けた市の外郭団体ビービズ・リンクは「別府に来られない今こそ、この動画を通じて、市は温泉が豊富な奇跡的な場所であること、そしてそれを最大限楽しめる魅力的な場所であることを世界中が知ってほしい」と話しています。
別府市の観光課のホームページでもご覧いただけますが、今回はフルバージョンの動画を載せておきます。
ご覧になった方もいるとは思いますが、見ていない方はぜひ一度ご覧になってください。
私も見ましたが、これはすごいです。
■「地球規模のPR動画 別府市、観光需要回復へ全世界に向け公開」
タイトルは「別府 THE ONSEN JOURNEY」。フルバージョン!
他に例を見ない温泉地のPR動画ですが、復活に向けての活動が続けられています。
毎分8万ℓ以上もの温泉が湧き出ている別府市、このコロナ禍の中でも脈々と温泉は湧き出ています。
現状はすぐには変えられないかもしれませんが、1年後、5年後そして10年後を見越しての活動をしていかないと未来はないという危機感が、この動画には込められているような気がします。
別府市のさらなる活動、ここまでやるか!
大分県別府市が、秋・冬の別府温泉観光を促進するキャンペーン「別府おもてなし再開」をスタートさせました。
このキャンペーンでは、観光施設スタッフから市長まで総出で全16本の動画を公開しています。
この中で思わず「凄い、ここまでやるか」と思ったおみやげがあります。
例えば地獄巡りの動画では、3密対策とソーシャルディスタンスを意識しながら営業していることを強調しています。
さらに新商品として、3種の蜜がかかった「3蜜団子」と12個入りの箱に6個だけ入れている「ソーシャルディスタンスまんじゅう」を販売するとのこと。
このコロナ禍の中、状況を逆手に取り一人でも多くの観光客を取り入れようとする努力、正直「脱帽」ですね。
ただこれが、「悲痛の叫び」の表れであるとともに、生きていくための手段でもあります。こういうのを見ると別府に行って「3蜜団子」でも食べてみるか、という気分にもかられます。
まとめ、別府温泉、コロナ禍の中の新たなる取り組み、凄いぞ!
観光地や温泉郷の取り組みは別府市だけではありません。
日本全国で苦境に立たされている状況下で、少しでも多くの観光客を取り込もうと模索が続いています。
今の状況では完全復活は来年以降になるとジャーナリズムは伝えています。温泉郷も含めて観光地は冬になると売り上げが必ず下がります。
この先クリスマスや年末年始、また冬休みもどうなるか予測が使い状況下ですよね。
もちろん各観光地や温泉地は黙って手をくわえて待っているわけではありません。少しずつですが復興に向けて、長期戦略も視野に入れて動き出しています。
私の第二の故郷でもある「別府市」、どうしても応援したくなります。
「止まない雨はない」、こういった努力が必ず近い将来、復活につながっていくことと信じます。
最後に「別府温泉 おもてなし再開」として新たな動画を製作しています。別府温泉はもちろんのこと別府市にある観光地大分市に至るまでや観光に従事している方が結集しています。
是非見てくださいね。
また、ご機会があればお寄りいただければ幸いです。今日は最後までお読みいただきありがとうございます。
※日本の歴史・政治経済・生活記事のブログです。見てくださいね。
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